<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第217章 堕としたい ― 政宗&姫 ―
「わぁ、政宗が作ってくれたの?嬉しい、いただきます」
嬉しそうに笑って俺の作った菓子を口にする舞。
いつも思うのだが、こいつは本当に美味そうにものを食べるから、作り甲斐があるんだ。
「舞はいつも美味そうに食べてるよな」
俺が笑いながら言うと、舞はちょっと恥ずかしそうに言う。
「だって本当に美味しいんだもの。政宗のごはんをいつも食べられるひとは幸せだね」
俺は目を丸くする。
俺の作ったものをいつも食べられる人は幸せ、なんて言葉、言われるとは思っていなかったからだ。
こいつは俺に対して何とも思っていないのか?
ふとそんな気持ちになるが、俺は元来黙っているのは苦手だし、欲しけりゃかっさらうくらいの性分だから舞に言った。
「じゃあ、おまえが俺の嫁になれば良いだろ」
途端、目をぱちくりさせてこちらを見る舞は、俺の言った事を理解したらしく、みるみる顔を赤くし、おろおろし出した。
「えっ、えっ、だって、いや、そんな…」
「なんだよ、俺のところに嫁入りするのがそんなに嫌か?」
俺が頬杖をついて文机の反対側に座る舞を見る。
「いや、そうじゃなくて、いきなり言われたから驚いたの」
ああ、そういう事か、しかし驚いている姿も退屈しなくて良いな。