<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第217章 堕としたい ― 政宗&姫 ―
俺がもともと相手にするのは、後腐れのないおんなだけだった。
おんなも遊びたいから互いにちょうど良い相手同志だ。
「良かったわ、また遊んでね」
ところが俺が本気になったのは、そんなおんな達とは全く違う、初心でおとこと遊んでいなさそうなやつだった。
「政宗、仕立ててきた着物、羽織ってもらって良い?」
俺の御殿にやってきた舞は、俺が依頼した着物を広げて言う。
渡された仕立てたばかりの着物を羽織ってみると、舞が俺に近付き、真剣な表情で丈の長さや縫い目などを確認する。
普段俺がこの距離で近付くと、それだけで顔を赤くする舞だが、こういう時は顔色も変えずに真面目にやっているから、俺もからかわず黙って終わるのを待った。
「…うん、特に問題無いみたい。脱いで良いよ」
ぐるりと俺を中心に一周し、縫った着物の仕立て具合を確認すると、安心したような口調に変わった。
俺が着物を脱いで渡すとその場で広げ、皺が付かないようきちんと畳む姿はすっきりと見目が良い。
俺はその間に茶と菓子の用意をし出してやる。
「ほら、これ、作ったから食べていけよ」
俺が畳み終えたところで舞へ声を掛けると、ぱあっと表情が変わった。