<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第215章 貴様を捕らえる ― 信長&姫 ―
この時代が最終的にどうなるかを知っているとならば、むしろ武士は知りたいだろう。
誰がどうなるのかわかれば、自陣をどう対応させていくか悩む必要がないからな。
俺が覇道を進めるのか、もしかしたら俺以外の者が天下を獲るのかもしれぬ。
もしくは俺が誰かに殺されるのか、そんな先の事がわかったら、皆、目の色を変えてそれを知ろうとするだろう。
だから舞は俺の許に置いておくのが一番だ。
しかしそんなのは後付けの理由なのだ。
俺は興味を持ったこのおんなを手放したくないだけだ。
「信長様は戦は怖くないのですか?」
ある時聞かれ、何て阿呆な質問をしてくるのだと呆れる。
「怖い訳なかろう。俺は幼き頃より出陣をしている。この時代の武士なら戦を怖いなど言わぬわ」
「でも命を失うかもしれないじゃないですか」
まだ食い下がらぬか。
「俺は死なぬ」
「どうしてそんなに自信たっぷりに言えるのですか?」
「俺は天下布武を成す。その為に死ぬ訳にはいかぬのだ」
「天下布武…この国を自分のものにしたいのですか?」
「意味をはき違えるな。俺は天下を獲るのではない。この国は南蛮に比べるとあまりに知識が無い」