<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第215章 貴様を捕らえる ― 信長&姫 ―
「それは…存じてます」
俺は小さく笑う。
「貴様の未来の知識からか?」
「…そうです」
「話しが早い。この国が南蛮と競えるちからを持つためには、もっと栄えなければならぬ。俺が天下を治め、民に競争させて生産力を向上させる。さすれば技術も進歩し、南蛮に対抗出来るちからを持てる」
「…それが信長様の天下布武なのですか?」
「そうだ。俺は天下を獲ったら秀吉あたりに政務を任せ、南蛮を見に行く。その時は」
俺は言葉を切り舞を見た。
『貴様も一緒に行くか』と言おうと思ったが、貴様にそれを言うにはまだ早い。
舞自身で自分の心に気付き、貴様から言わせないとならぬのだ。
貴様から俺に心を差し出す、とな。
俺は貴様を拒まないし、貴様を手放すつもりも無い。
俺が途中で切った言葉に首を傾げる貴様を見やり、俺は外へ顔を向ける。
空はどこまでも青く、それは遠く南蛮まで続いているのだろうか。
俺のまだ見ぬ世界を、貴様と旅するのは面白かろう。
だから未来へは戻らず、俺と共に来るが良い。
俺は不思議そうに俺を見る舞を、どうやれば早く俺のものに出来るか、いつか全てを必ず手に入れてやると決めた。
<終>