<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第21章 イケメン戦国英雄伝説序章 ― 全武将 ―
『何をだい?ユリアン』
ヤン・ウェンリー役の幸村が、ユリアン役の蘭丸と話しているが、棒読みでぎこちない。
「幸村、もうちょっと、ユリアンに優しく話して」
佐助が注文をつけると、幸村はきっぱり言う。
「無理!こいつに優しくなんて、絶対、無理!」
こいつとは蘭丸。
微笑みを浮かべたような表情で座っているが、醸し出す雰囲気はなんとなく黒い。
「やだなぁ、演技なのに、そんな事も出来ないの?」
にこにこしながら言葉は辛辣だ。
途端に幸村と蘭丸の間に火花が飛び散る。
「…とりあえず、次に行きます。幸村、後で演技指導」
いつまでも足踏みしていては、次へ進まない。
佐助は次へ進ませる。が。
「佐助、私はいつ出番なのだ?」
真面目な顔をして台本を見ていた顕如が尋ねる。
「地球教は最後のほうです」
「佐助、伊達政宗より俺のほうが出番は多いのか?」
次に聞いてきたのは信玄、と、好き勝手言い出して佐助は収拾をつけられなくなる。