<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第209章 茶菓子 ― 信長&姫 ―
「貴様、どこへ行く」
文を読みながら信長に問われた舞は答える。
「信長様のお仕事の邪魔かと思いまして、下がろうとしたんですけれど…」
信長は舞を見る事なく即座に言った。
「貴様は下がる必要は無い。このままここに居て、針子の仕事と俺の手伝いもしろ」
「は…はいっ…」
弾むように返事をする舞に、信長はちらりと文から目を離し、舞を見る。
「どうした、そんなに嬉しそうな返事をして」
「あ、だって、信長様と離れたくないなぁって思っていたので…」
正直に舞が答えると、信長はまたも面白そうに言った。
「貴様、本当に正直で愛らしいな。では手伝いをさせるから俺の横へ来い」
「はい」
仕事の手伝いだからと舞は移動し、信長の隣へ行った。
でも信長から来たのは仕分けしたり整理をするような大量の文でも無かった。
信長は舞の肩を引き寄せ、少し半開きになっていた舞の唇に、自分の唇を寄せた。
「…!」
「これも貴様の仕事であろう?」
唇を離した信長に言われ、また顔を赤くした舞は言う。