<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第209章 茶菓子 ― 信長&姫 ―
「…信長様ったら…」
仕方ありませんね、と負け惜しみのように言って、そのまま信長の隣で着物の繕いを始める。
時々、信長に声を掛けられ、茶を用意したり戯れられたりしながら半日が過ぎる。
「貴様、よう俺の許で働いたな」
茶を淹れる舞に信長は褒めると、舞は嬉しそうに言った。
「そうですか?でもお手伝いが出来たなら嬉しいです」
湯呑みを差し出して舞は信長に言った。
「菓子が無いな…いや、有ったか」
信長は小さく言うと、舞をまた隣へ呼び座らせる。
「貴様を寄越せ、茶菓子が無かった」
「え?は?」
信長はまた舞に引き寄せられ、そのまま信長のあぐらの中にすっぽり座らせられた。
そして信長の手が舞の衿をひろげ肌に触れていき、同時に信長の顔が首に吸い付く。
「…の、のぶ、なが…さ、ま…」
「茶菓子が無かったから貴様を代わりに味わう事とする」
さらりと茶菓子代わりと言われたものの、信長の大きな手が舞の気持ち良いところしか触れないため、舞は益々触れて欲しくなり、静かに時々吐息を漏らす。
有る日の天守で、二人の間の甘い出来事は、二人だけの甘い秘密。
<終>