<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第209章 茶菓子 ― 信長&姫 ―
甘い香り、そして、光を反射するそれを、手を伸ばした信長は一粒つまんだ。
「本当に信長様は金平糖がお好きですね」
舞は満足げな表情を見せる信長に言う。
「ああ、このようなものはこの国には無いからな、珍しい上にこんな小さいのに、甘い」
信長はにやりとすると、更に舞に言った。
「貴様のあの部分のように甘いな」
瞬間、舞は甘いと信長に言われているのを思い出し、顔を赤くする。
「な、な、何を…冗談はやめましょう、信長様」
慌てて舞が言うのを見て、信長は機嫌よく笑う。
「貴様は本当に面白いな。見ていて飽きぬし、何を考えているのかわかるのに、その表情の変化をいつでも見ていたいと思わせる」
「…それ、つまり、私で遊んでいるって事ですか…?」
今度は少しむくれて舞は言い、その表情の変化に信長は面白く感じる。
「貴様で遊んではいかぬとは言われていないからな」
「遊ばれるほうはあんまり楽しくないですよ?」
更に口をとがらせて舞は言うが、信長には大した事でなかったらしい。
手元にたまっている文を一通手にし、広げて中を読み始めたため、仕事を邪魔してはいけないと舞は下がろうとする。