<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第204章 Change root ― 佐助&謙信 ―
武将クラスの人だとは思っていたけれど、ラスボスのような存在の上杉謙信を助けたのか。
「ほう、おまえでも俺の名は知っているとみえるな」
上杉謙信は口の端で笑みを浮かべたが、その清冽な笑みに俺は背中がぞくりとした。
この人は危険だ。
自分の中で警報が鳴る。
「俺を助けた褒美をやろう。何なりと申せ」
近くにいてはいけない、遠くへ行かなくては。
でも、その時気が付いてしまう。
本能寺に偶然居合わせた、あの女性は?
あの女性はどこへ行ってしまったのか。
偶然とはいえ俺の時間飛行に巻き込んでしまったなら、彼女を見つけ出し現代へ戻してあげないとならない。
ということは俺は彼女を見付ける為、この時代で生きて行かなくてはならない。
瞬間的に頭が猛烈に回転し、生きていかなくてはならないなら、この上杉謙信の許で生きていく術を得るのが良いだろう。
彼は危険な人物に思えるが、俺が生きる職を得るのはきっとたやすかろう。
そう、思って、彼に言った。
「俺を雇ってください。手に職をつけて生きていかなくてはなりません」
俺の言葉に上杉謙信は珍しいものを見るような眼差しで俺を見る。