<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第201章 この男、惚れれば。 ― 姫&光秀 ―
そう思っていたなら、わざわざ聞く事ないのにと思う。
「おまえの甘っちょろい考えでこの乱世が生き抜けると思うのか。おまえの解決策は『話し合い』だと信長様に聞いたが」
そして一度言葉を区切ると、何を思いだしたのかくすりと笑う。
「おまえはその甘い考えでこの時代を渡っていけると信じているのだろう。ならば俺たちにおまえの考えが正解である事を証明してみせるが良い」
話しながら手早く道具を片付ける光秀さんは、いかにもなオモチャを拾ったように私に言う。
「証明って言っても…」
何をどうするか具体的な事など何も無いのに、光秀さんは自分の考えが正解かどうか証明しろと言う。
なんて意地悪な人なんだろう、私は光秀さんの事をじっと見る。
何を考えているのか底の知れない人なのに、不思議と信長様は信用している。
勝手な行動が多いから、秀吉さんは常に危ないと怒っている。
この不思議な怪しい行動をする人に、興味を持つ人なんているのだろうか。
私の視線に気付いたのか、光秀さんは言う。
「なんだ、俺に惚れたか、小娘」
「惚れてません!」
間髪入れずに答えると、光秀さんはおかしそうな表情をする。
「おまえは本当に面白い…」