<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第201章 この男、惚れれば。 ― 姫&光秀 ―
現代では一般の人が銃に触れる事はないので、さらりと鍛錬と言われ驚き、でも光秀さんに引っ張られて練習場へ連れて行かれる。
広い野原に立ち、見ると離れたところに何か置いてある。
「…あれ、的ですか?」
「ああ、あれに向かって撃つ」
さらりと言う光秀さんだけど、的と私たちの立っている位置はかなり離れていて、あんな遠くに当てられるのかと思う程で、私はつい聞いてしまう。
「あのう…かなり的との距離がありますけれど、当たるんですか?」
光秀さんは私の質問に一瞬ぽかんとしたような表情を見せたものの、おかしいと言わんばかりに笑い出した。
「おまえ、たわけた面白い事を聞くな。当てられるからあの距離なのだろうが」
そうなのかな、だってずいぶん距離あるよ…?
私は疑問に思いながら光秀さんの動作を眺めていると、持っていた火縄銃や道具を準備し、そしてこちらを見る。
光秀さんはわからない私に簡単に使い方を説明してくれた。
火縄銃は、早合に火薬と弾を詰め、長い棒であるカルカを銃口に差し込み突く。
そして口薬を火皿に置き、火蓋を閉じて火縄を挟んでから火蓋を開け、発射するという。
確か歴史では、織田信長が三人一組で火縄銃を撃たせて、時間短縮を図ったって聞いたよなぁ、まだこの時はそれは考えられてないのかな、と頭の隅でぼうっと考えていると、光秀さんにつんと額を突つかれる。
「何をぼんやりしている。撃つから黙って見ていろ」