<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第195章 貴方を望む ― 姫&秀吉 ―
泣きそうな、でも、諦めの表情で言われた内容に、私は大きく頷いた。
「絶対幸せになるよ」
一行が出立し安土に戻ると、みんなが出迎えてくれる。
「ずいぶん長くかかったな」
信長様の言に秀吉さんは頭を深々と下げる。
「まことに面目ございません。これからの働きを見てください」
「ふん。働きより、俺が好き勝手に金平糖を食えるようにしろ」
「そっ、それはいけません!」
いつもの会話が戻り、広間にいつもの姿と様子が溢れる。
秀吉さんが一人、いるかいないか、それだけでこんなに雰囲気が違う。
私だけでなく、安土のみんなにとっても、秀吉さんは大切な人なんだと改めて思った。
「長い事、悪かったな。文すら書く気力がなくて」
二人になった時、秀吉さんは私を抱き締めて言ってくれた。
「ううん、あのね、言ってなかったから言っても良いかな?」
「改まってなんだ?」
秀吉さんの胸に顔を埋めていたのを起こし、秀吉さんの顔をしっかり見つめた。
「秀吉さん、大好き。はっきり言ってなかったけれど、ちゃんと言いたかったの」
私の言葉に秀吉さんは一瞬目を見開き、そして心持ち顔を赤くしたようになり、私をぎゅっと抱き締める。