<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第186章 Virtual valentine ― 武将&姫 ―
<顕如の場合>
「ほう…面白い事をしているな」
顕如がスマホを触る舞を後ろから抱き締めて言う。
「顕如さん、バーチャルでチョコを贈り合う遊びですよ」
舞は後ろを少し向きながら、バーチャルバレンタインについて説明した。
「ああ、実は私はそれを知っているのだ。そのシステムを私の会社が請け負ったからな」
顕如の言葉に舞は驚く。
「え、そうなのですか?じゃあ社内でもこういうのやり取りしてるんですか?」
「ああ、私にも社員たちから届いているし、私も社員たちに贈った。本物でないから来月のお返しなど考えなくて良いし、なかなか好評だ」
顕如の手が画面を触れる舞の手をやんわりと包み、手の甲を撫でゆっくりと指の間に自分の指を這わせると、マッサージをするように愛撫をする。
「顕如さん…手の動きが…なんだかエッチです…」
顕如の手の動きを見つめる舞の声が、心なしか少し艶を帯びてくる。
「指の動きが厭らしいとは…舞は何を想像しているのだ?7」
顕如の声が艶めき、低音が耳に静かに流れ込むと、ぞくりと背中を震わせる舞。
「顕如…さんが…欲しいな…」
スマホをテーブルに置き、腹に回っている顕如の片手に、舞は自分の手を重ねて細く小さく喘ぐような声を漏らす。
二人の甘い一夜はこうして始まるのだった。
<終>