<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第185章 余裕が有りそうで、無い ― 政宗&姫 ―
「政宗、私をからかって遊んでるでしょう?」
「お、わかったか?」
そして俺は出迎えにいらしていた信長様に声を掛ける。
「信長様、報告は明日でも良いですか?」
信長様は俺たちをずっと見ていたらしく、軽く笑いながら口を開く。
「ああ、よかろう。早く御殿へ戻るが良い」
「ありがとうございます」
俺は礼儀正しく信長様に頭を下げると、馬にまたひらりと乗り、舞の腕を掴むとひっぱりあげ自分の前に舞を座らせる。
「ちょ…政宗…私、乗るなんて…」
抵抗する舞に楽しそうに俺は言う。
「ははっ、何照れてるんだよ。俺は早く二人になりたいんだよ」
そして舞の返事を聞かずに手綱を軽く揺らし、馬をゆっくりと御殿へ向かわせる。
「俺に早く会いたかっただろう?違うか?」
耳元で囁かれ、その低音の囁きに背中がぞくりと粟立ち、頷くしか舞には出来ない。
「ずるいよ、政宗、私を翻弄して、自分だけは余裕が有って…」
舞がつぶやいた言葉を俺はちゃんと聞いていた。
「どこかずるいんだ。俺は早くおまえを愛したくてしようがないんだよ」
「…だから、そういうところがっ…」