<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第185章 余裕が有りそうで、無い ― 政宗&姫 ―
ちらりと舞は俺のほうを見上げてきたが、馬を歩かせる俺の顔がいつもと違う事に気が付いたようだ。
「政宗…余裕なさそう…?」
舞が俺を見たまま聞いてきたので、俺は口をへの字に曲げてむっとする。
「あーこっちは見るな、かっこよくないところは見なくて良い」
「え、嫌だよ、見るよ。政宗、本当に私に会いたくてしかたなかったんだ?」
「当然だろう?安土城が見えたところで、兵を家臣に任せて先に戻って来たんだ。俺がどれだけおまえに会いたくてしかたなかったか、気付けよ」
そして舞の後頭部に軽く俺は口付け、御殿に到着すると馬を家臣に任せ、自分が先に降り舞を抱くように降ろした。
「え…政宗、おろしてよ」
その降ろした時の状態のまま、俺は舞を抱き上げたまま御殿の中へ、家臣や女房の人たちが「おかえりなさいませ」と挨拶する中、そのまま連れて行った。
「全く…俺は早くおまえを愛したいんだよ」
部屋に入り、舞を下ろし、俺は舞をぎゅうと抱き締める。
「会いたかった舞…おまえ、暖かいな…」
舞は安心しきった俺の声に、俺がいかに緊張の中闘って戻ってきた事にようやく気付いたようだ。
そっと背中に両手を回し、抱き締めて言う。
「政宗…おつかれさま…おかえりなさい…」
俺は少し舞を離して、舞の顔を見つめて言った。
「あぁ…ただいま」
そして、俺の口付けが舞の唇をふさぐ。
舞は俺の体温を感じているのだろう。
一言「政宗…からだ、熱いね…」そう言って、そして俺たちは熱い時を刻んでいった。
<終>