<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第185章 余裕が有りそうで、無い ― 政宗&姫 ―
馬を早駆けさせる、あいつが待っているからな。
安土城の天守が見えてきて、兵たちを家臣に任せ、俺は馬を走らせる。
城の中へ入ると不安気な表情のあいつが、ぱっと顔をほころばせるのがわかった。
俺は馬を止め、その場で馬から降りると、あいつがぱたぱたと走ってきた。
「政宗!」
俺は走ってきた舞を抱き留める。
「怪我、してない?大丈夫?」
心配そうに俺の顔を覗き込む舞に俺は笑って言う。
「俺を誰だと思ってる?怪我なんてしてねぇよ、後で全部見て確かめれば良いだろう?」
俺の言葉の意味に気付くと、みるみるうちに顔を赤くする舞。
「ばかっ、政宗ったら。どうしてそういう事言うのよっ」
「そういう事だろ?それとも嫌なのか?」
俺が更に言うと、舞は呆れて言う。
「そういう事じゃなくてっ…もう、どうしてすぐそういう方向に話しが進むのよ…」
「そういう事ってどういう事だ?」
俺が真顔でわざと突っ込んで聞いたので、舞は言葉に詰まり、そしてむぅと頬を膨らませるが、その姿も可愛くてしようがない。