<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第180章 妬心 ― 光秀&姫 ―
そして三成の片手が舞の頬を撫でる。
…三成、触れるな。
俺は面白くない気分になり、さりげなく二人に近付き話し掛ける。
「ほう…二人ともずいぶん仲良しだな」
「みっ、光秀さん、これはっ…たまたま…ですっ」
慌てて言い訳する舞に、俺は内心知っている、と一人ごちる。
「いや、言い訳はしなくても、俺にはおまえたちがどういう仲であろうと関係ないからな」
瞬間、舞の表情が曇り、言い過ぎたか、と思ったが俺も後には引けぬ。
「せいぜい仲良くすることだな」
そう言い残し、俺は二人に背中を見せて去る。
…舞はどう出るか、きっと、後で俺の御殿に来るだろう。
予想通り、夕刻に俺の御殿に姿を見せた舞は、泣きそうな顔で俺の前に座る。
「光秀さん、誤解です」
「ああ、わかっている、おまえと三成の事は見ていたからな」
間髪入れずに言う舞の言葉を肯定し、俺は舞の前に座り直す。
俺の誤解を否定しに来た舞は、俺の言葉に目を丸くし、俺は舞の頬をすり、と撫でながら言う。
「しかし、おまえは三成に頬を撫でられていただろう?どうしてそう、無防備なんだ」
そう、俺は無防備すぎる舞に、何となく心にもやがかかる事をはっきり気付く。