<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第180章 妬心 ― 光秀&姫 ―
背中をなぞる指も愛しい。
「…舞」
舞の手を取り、手の甲に口付けると、舞が極まったようにふるりとからだを震わせた。
「これくらいでそんなになってどうなる?」
「だ…だって…光秀さんがいけないんです…」
「ほう、俺が悪い、と…しかし、そもそもその原因を作ったのは誰だ?」
俺は、どうしてこうなったか、先程の事を思い起こす。
「動かないでね」
舞の声が聞こえてきて、俺は何をしているのだろうと声のほうへ赴く。
そこには三成に針子の仕事を依頼されたのか、採寸しているらしい舞と三成の姿があった。
…近いな。
俺はいくらなんでも二人の距離が近いと見ていたら、採寸を終えた舞が三成の肩に掛けていた反物を取る時に、どこやらに引っ掛けてつまづき、三成の背中に抱き着くのを見てしまう。
「あっ…ごっ、ごめん、三成くん」
慌てて謝る舞に、くるりと振り返った三成も遠目から見ても何やら顔が赤い。
「いえ、私は大丈夫です。舞様こそおけがはなさってませんか」