<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第165章 幸せの日 ― 光秀&姫 ―
「見せつけてるのだが?」
俺は更にわざと言うと、舞は困った表情になる。
「ええっと…嬉しいですけど…恥ずかしいです…」
ま、あまり他の者達を欲情させるような事をしても、まだ昼間だからな、俺は閉じ込めた腕を解いて舞を解放した。
すると、解放されて一安心の表情をするかと思った舞は、なんとはなしに寂しそうな表情を見せた。
「どうした?」
俺が聞くと、舞は眉尻を下げて言う。
「人前では確かに恥ずかしいんですけど、やっぱりこの腕が離れると寂しいなって」
「…それなら、この空き部屋で今から存分に愛してやろうか?」
目の前の部屋を指して言うと、舞は真っ赤になりつつも小さく頷いた。
俺はそっと部屋の襖を開き、舞と中へ滑り込み、襖を静かに閉める。
そして目の前に立つ、何かを期待する眼差しで俺を見上げる舞へ向き合う。
「あの、光秀さん…お誕生日おめでとうございます」
唐突な祝いの言葉に俺は驚き、目を瞬かせる。
舞は懐から何か取り出し、俺に寄越す。
「手拭い作りました。明智家の家紋である桔梗を刺繍したんです」