<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第165章 幸せの日 ― 光秀&姫 ―
今度で何度目の生まれた日を迎えるのか。
よくもまぁこの戦乱の世を生き抜いてきたのか、と俺は自身で思う。
しかし、生きてきたおかげで、ただ一人と決めたおんなにも出会えた。
「光秀さん!」
舞がいっぱいの笑顔を向けて、俺へ向かってくる姿は愛らしい。
「おいで」
俺は寄ってきた舞を腕の中へ閉じ込める。
「み、光秀さん…」
閉じ込められるのがわかっていて近寄ってきたはずの舞は、何故か顔を赤くして俺を見上げる。
「どうした?こうして欲しいのではないか?」
俺が片頬をあげて言うと、舞は口ごもりつつ言った。
「ええっと…そうなんですけど…ここでは、人目につくので…」
ああ、そういう事か、確かに安土城の廊下で抱き合っていたら、他の者達が俺達の姿を遠巻きに見ているのがわかる。
「俺は構わぬが?」
耳元で囁くように言うと、舞は一瞬蕩けそうな表情を見せ、すぐ頭を振り言う。
「ここでは駄目です…!だって人目についてます…あちらこちらで見られてるじゃないですか…」