<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第157章 新しい関係 ― 光秀&姫 ―
俺は平静さを失わず、通常の倍の距離からも百発の弾を的に当て、信長様からお褒めの言葉をいただいた。
褒美をくださると言うので、俺は決めていた事を信長様に伝える。
「舞が身を持って俺をねぎらいたいそうです」
「な…な…」
おかしい意味に捉えないでください、と舞は叫ぶように信長様たちに言うが、信長様はにやりと笑みを浮かべ、舞は自分の持ち物だが、大胆な発言に今日は譲ってやる、とおっしゃり、俺に舞を預けられた。
そして信長様たちは俺と舞を残し、全員が城へ戻り、俺達二人だけとなる。
舞は俺に何をされるのかと、落ち着きなくきょろきょろしているのがおかしい。
俺は舞の顎をすくいあげ、舞の挙動不審な顔を覗き込む。
「そうやって、拗ねている顔もいいな」
俺にからかわれていると気付いて、むうとむくれる舞だが、二人で話すうちに俺が考えた事も無い事を聞いてきた。
「戦が終わって平和な世が訪れた時…そこに光秀さんはいるんですか?」
そんな事は考えた事が無い。
何故なら必要であれば、俺すら道具となるつもりだから、だ。
「さぁな。先のことなど、誰にもわからないだろう」
舞、おまえは不思議なおんなだ。
俺にからかわれても、俺から離れる事なく、更に平和が訪れた時に俺はどうしているのか、となど、聞いてきた者などいないからな。