<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第157章 新しい関係 ― 光秀&姫 ―
そんな不思議な考え方をするおんなに、他の者も惹かれるのかもしれぬな。
俺は舞の両頬をむにゅっとつまんで左右へ引っ張って言う。
「そうだ。おまえはそういう間抜けな顔をしていろ」
おまえのその間抜けな愛らしい顔で、俺達、いや、俺を和ませろ。
俺は舞と話しているうちに、明かしたくない本音がこぼれそうになる。
しかし、それを内心止め、余計な事は言わないようにするが、舞と二人きりというのは、良い状況を我ながら作ったものだな、と今更ながら気が付く。
舞を独り占めしている今、この娘を俺の物にして悪くはないだろう?
俺はこういうのも悪くない、と考えつつあった。
「…おまえを好きにすると言ったが、案外、こういうのもいいかもしれんな」
俺は舞へと顔を近付け、舞が顔を赤くして俺を見つめる。
唇同士が重なる直前、硝煙の匂いが、ふと、匂ったような気がするが、そのまま俺は舞へ口付けをする。
この口付けで俺達の関係が何か変わるだろうか。
俺達、いや、俺の生き様すら変化が起こりそうな気がしたのは気のせいか。
舞は俺の唇を黙って受け入れ、俺の手の動きに軽く身じろぎした。
ああ、そうだな、この続きはここでは出来ぬな。
宿で部屋をとり、布団に舞を組み敷き、俺達の関係は新しく始まるが、それは俺にとって今迄とは違う生き様を見付ける事が出来そうな、幸せな関係になりそうだ、と思った。
<終>