<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第157章 新しい関係 ― 光秀&姫 ―
舞が唐突に言った事で、俺は兵たちの前で、いつもの倍の距離から鉄砲を的に、百発当てる事になってしまった。
「ごめんなさい、私が不用意に言った事で…!」
今更何を言っているのか、舞の突拍子の無い事は明らかだろう?
「気にするな。おまえの突飛な発言は、今に始まった事ではないだろう」
そう言ってやると、益々舞はからだを縮こませ、俺に悪いと言った体を改めない。
いつまでもそんな姿を俺に見せていると、俺はおまえに意地悪をしてやりたくなる。
俺は舞との距離を縮めると、舞は後ずさりし、しかし壁に背中をつけたところで、俺は軽く両手で舞を囲み、逃げられなくしてやった。
「では、百発の弾が全て命中したら。その後、おまえを好きにさせてもらうというのはどうだ?」
俺の言葉に、舞は目をぱちくりさせ、その後「え…え…」と動揺していた。
しかし、この状況までで、かなりな百面相を見せてもらった俺は、これ以上舞に関わるのも良くない、と心の中の警戒信号を受け取り、接触するのを止める事にする。
「おまえがこの手に入るよう、せいぜい頑張るとしよう」
そして、俺は舞から離れる。
「光秀さん…」
後に残った舞が真っ赤な顔をしたまま、俺の姿が見えなくなるまで、そこに立ち尽くしていたのに気が付いていたが。