<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第15章 瞬間 ― 秀吉&姫 ―
「一度に全て片付けようと思ってました。そうじゃなくて良いんですね」
「ああ、大丈夫だ。無理すんな」
「はい、ありがとうございます」
書庫に行くと分類されているところに本をしまっていくのだが、舞は一冊の本を見て途端に途方にくれた顔をした。
「どうした?」
「あのう…何て書いてあるのか、わかりません」
「おまえ、字が読めないのか?」
字が読めないという言い方が悪かったのか、舞は眉間にしわを寄せて言う。
「こういう、うねうねした字は読み慣れないんです」
「じゃあ、分類がどうなっているかもわからないか?」
「さっぱりわかりません」
「じゃあ教えてやる。分類としては、あの一番上から下に…」
「あいうえお、順ではないんですね…」
「あいうえお?」
「あ、なんでもないです。あっちの上から、ですね」
慌てる舞の姿に違和感を覚えるものの、分類を教える事に気を取られる。
「そうだ。じゃあ、俺が順番に本の題名を言うから、該当する分類場所に置いてみると良い」
「はい、お願いします」