<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第144章 深き愛 ― 姫&三成 ―
私が先導するように言うと、三成くんは恐縮したように言った。
「本当にご迷惑お掛けして申し訳ありません」
二人で書庫へ行き、扉を開けると、紙の匂いがぷんと漂う。
「えーと、分類、どうなっていたっけ?」
私がきょろきょろすると、三成くんがとさりと本を下におろし、私の持っていた本を取り上げる。
「これとこれはここ、これはあっち、この三冊はあそこです」
てきぱきと指示をくれたので、私は「わかった」と言って本を片付ける。
「あとの本は?」
「えーと、この山がそこ、こっちが先程のあっちのものと同じ…」
やっぱりてきぱきと指示を出してくれて、何だかとっても恰好いい。
二人でさっさと片付けて、私はくるりと書庫を見回す。
「改めて見ると、ここって本が本当にたくさんあるんだね」
「ええ、そうですね。信長様がたくさん異国のものも取り寄せてくださるので、本当にいろいろな本を読む事が出来ますよ」
「三成くんが最近読んで面白かったのはどれ?」
聞いてみると、うーんと考えて、一冊の本を棚から取ってきてくれる。
「これ、ですね」
ぱらりとめくった本の文字は私には全く読めず、首を傾げると、三成くんは「源氏物語」の写本だと教えてくれた。