<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第144章 深き愛 ― 姫&三成 ―
深い海の底。
私達の愛は海溝より深いものになるわ。
まだ、好きなのかどうかもわからない、私達の心。
「三成くん、大丈夫?」
久し振りに会った三成くんは眼鏡を掛けたまま、安土城の廊下を本を大量に抱えて歩いていた。
「あ、舞様、大丈夫ですよ…わわっ!」
抱えていた本の均衡を崩し、ばさばさと周囲に本が散らばる。
「手伝うよ」
二人で落ちた本を拾い集め、持ちやすいように整えてあげた。
「ほら、これなら持ちやすいでしょ?」
「本当です。ぐらぐらしませんね」
にっこり微笑む三成くんの天使のような表情に、こちらが反対にドキリとしてしまう。
「あ、ちょっとだけ持ってあげる」
その鼓動を誤魔化すように、私は三成くんの抱えた本の山から数冊取り上げる。
「あ、舞様にそんな事をしていただいては…」
「これくらいなら大丈夫。それより書庫に置きに行くんでしょ?」