<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第135章 旅の御褒美 ― 政宗&姫 ―
これは恋、というものだろう?
俺が恋に惑わされるとは思わなかったから、世の中本当に不思議だ。
「ほれ、餅作ってきてやったぞ」
舞に枝豆を潰した餡を乗せた餅をふるまう。
「わ、これ、もしかしてずんだ餅?」
「なんだ知ってるのか?」
「知ってるよ!有名だよ、ずんだ餅。500年後も食べられてるよ。
そうだ、伊達政宗が考案したって聞いてるけれど、本当なんだねぇ」
感心したように箸を手にし、餅を食べ始める舞は、大喜びだ。
「うわー、すっごい美味しい。お餅もしかして搗き立て?」
「ああ、家臣に手伝ってもらってな」
「やっぱり!本当に美味しいねぇ」
にこにこしながら餅を口に運ぶ舞は素直で可愛くて仕方ない。
食べ終えた舞に、俺は近寄ってこっそりと言う。
「なぁ、美味いもの食わせたんだし、御褒美もらっても良いよな?」
「御褒美?え…何だろう?私で出せるものじゃないと無理だよ?」
「簡単だ。ほら」
俺はさっと舞を片手で抱き寄せ、反対側の手で舞の顎をすくい、さっと唇を奪った。