<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第135章 旅の御褒美 ― 政宗&姫 ―
俺にとっては仙台から安土に行くのは、完全な旅と言える。
織田信長様に乞われて同盟を結び、安土を安定させてから領地に戻る事となり、俺は安土に御殿を構える。
安土に来て、出会った武将は、仙台で聞いた名の有るもの達ばかりだった。
織田信長様とその腹心である豊臣秀吉と明智光秀。
俺と同じく同盟を結んだ徳川家康と豊臣秀吉の家臣の石田三成。
そこで過ごしている間に不思議な娘が舞い込んだ。
信長様を危ういところから助けたという舞。
俺が知る町娘と全く違う感覚を持つ舞に、全員気に掛ける状態となるのに時は不要だった。
勿論俺もその一人で、せっせと舞が好きそうな料理や菓子を作ってふるまってやる。
「うわー、おいしそうー政宗すごいね。ありがとう!」
嬉しそうな顔で気取らず口を開けて食べる舞が、可愛いくてならない。
秀吉も妹のようだと言い、家康も『あんな子』と言いながらも気になって仕方ないらしく、光秀も好きな子には意地悪するというやつで、三成もにっこりしながら出し抜こうとする。
信長様がやはり俺達の中で一歩抜きんでてるという様子だが、俺だって負けちゃいねぇ、しまいにはかっさらって青葉城まで連れて行ってしまおうかと思っているくらいだ。
ああ、俺はいつの間にか、変わった娘として見ていた舞を、自分一人の物にしたくてならない感情を、持つようになってしまったんだ。