<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第1章 ずっトモ ― 佐助&幸村 ―
「お互い信頼しているからこそ、信玄様は幸村が部下なのに、注意しているのを許している。普通だったらありえない関係だと思います」
信玄様はほう、と言った表情をして、俺を見た。
「そうか。でも俺に言わせると謙信と佐助、おまえさんたちもなかなかの良い上司と部下と聞いてるぞ」
「…聞いてる?」
どこから聞いたのだろう、と俺は疑問に思う。
「忍びは軒猿だけだと思わんでくれ。俺のところにも三つ者という優秀な忍びがいるんだ」
信玄様のところにも忍び集団がいるのか。
「良い上司と部下、か」
謙信様はコトリと杯を置く。
まずいな、この展開は。
謙信様はすらりと姫鶴一文字を抜刀する。
「良い部下なら俺と闘え」
「お断りします!ほら、幸村逃げるぞ」
追いかけっこになるが、今日は幸村も巻き沿いだ。
「ええーっ、なんで俺まで!?」
仰天しながらも俺と廊下を走る幸村。
逃げる歩幅まで一緒だ。
「なんだよ、おまえの上司、物騒だな」