<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第128章 罠に堕ちる ― 姫&光秀 ―
つい、訳のわからない事を聞いてしまい、光秀さんは苦笑する。
「なんでも俺が良いと言ったのは舞だろう?
だから俺が舞を抱っこしているだけだが、何か文句あるのか?」
「いや、それは、ありませんけれど…抱っこして欲しいとは…」
抱っこして欲しいとは言ってません、と言えば良いのだけど、つい、光秀さんに横抱きされているのが特別な感じがして嬉しくて、そのまま御殿へ運ばれ、光秀さんのお部屋へ連れて行かれてしまった。
部屋に入るとそのまま光秀さんはあぐらをかいて座り、私をそのあぐらの中へすっぽり包んでしまう。
私はふと、急に光秀さんのしっかりした厚い胸板に包まれている事に気付き、自分の体温があがり、恥ずかしくなりうつむいてしまった。
『どうしよう…光秀さん、こんなにかっこいいからだしてるんだ…』
「どうした?舞?」
うつむく私のあごをすくい、上向かせて光秀さんが覗き込み、ますます私は慌ててしまう。
「あの、その、光秀さん、かっこよすぎて、その、私、えーと…」
しどろもどろになる私に、光秀さんは瞬間呆気に取られた表情を見せ、その後、くつくつと笑い出した。
「舞…おまえ、面白いな…」
そして、光秀さんは急に真剣な顔をしたと思うと、顔を間近に寄せて言った。
「さ、どうする?俺に意地悪されるか?何もされないか?」
『えっ…何もしないと言ったら何もしないよね…意地悪すると言ったら、何かあって意地悪してくるんだよね…えっ…どうしよう…』