<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第128章 罠に堕ちる ― 姫&光秀 ―
貴方の御殿まであと何歩?
一歩、二歩、三歩、あとちょっとで貴方に会えると思うと、慣れない着物の足さばきも早くなるの。
見えて来たわ、貴方の御殿へもう少し。
小走りになる私に、貴方が私を迎えるように出てきて、飛び込む私を腕に囲んでくれる。
「何だ、大丈夫か?」
「はい、早く会いたくて小走りしちゃいました」
「そうか、しかし急ぐと転ぶぞ」
「そうしたら光秀さんに薬を塗ってもらいますね」
私はにこっと笑みを浮かべ、私を腕に囲んでくれた光秀さんに甘える。
「そういうのは家康に頼むんだな」
反対に光秀さんから、がっかりするような一言を放たれ、つい私は残念がる。
「えー、私は何でも光秀さんが良いですー」
ちょっとふくれて言うと、光秀さんは私をひょいと横抱きにした。
「え?え?光秀さん、私、歩けますよ?」
「静かにしろ、何でも俺が良いと言ったのは舞だろう?」
「え、そうですけど…でも、どうして?」