<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第128章 罠に堕ちる ― 姫&光秀 ―
つい考えこむ私に、光秀さんはこれ以上考えさせないかのように、着物の上からではあるものの、私のつま先から指一本を滑らせて、膝下から膝上へと指を昇らせる。
何故かその行為が、私のからだをしびれさせ、思わず声をあげてしまった。
「ん、あん…」
「ほう、ずいぶん色っぽい声を出すものだな」
光秀さんはまだ指を腰から上へと滑らせるのを止めない。
「その指…何か…駄目、です…」
指の動きに翻弄され、私は光秀さんの罠にかかったように、甘くからだがしびれて、だんだんと考えられなくなる。
私はきゅっと光秀さんの着物を掴み、胸に顔を押し付け、ふぅとため息をつく。
「ずいぶん、色っぽい顔をしてため息をつくものだな」
指が私の頬を撫で、ようやく止まり、私は顔を上げて光秀さんを見つめた。
「今すぐ抱いてくださいって顔をしているが…」
くすり、と光秀さんは少し笑って、私を横たえ、帯を解く。
光秀さんの指の罠に堕ちた私に、光秀さんは意地悪とは違う、甘く人には見せられない姿を私にさせる。
ほんの小さな甘えの一言が、大きく私を変える事になるとは思わなかったわ…
「光秀さん…」
私の声が光秀さんの動きを激しくし、私は更なる罠へかかり、堕ちていくの…
<終>