<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第122章 紙飛行機 ― 佐助&姫 ―
本能寺の変で織田信長の命を助けたからさぁ、大変。
すっかり安土の武将に気に入られ、安土城で暮らす事になった舞さんは、可憐で愛らしく今では織田信長の寵姫と言われている。
本人に聞いたら「そんなんじゃないよ」と怒っていたけれど、実際はどうだろう?
だから俺は紙飛行機を飛ばしてみる。
舞さんの様子を知れたらな、俺の想いも飛んで行ってくれればな、なんて。
俺は安土へ偵察に行き、天井裏から紙飛行機を舞さんの部屋へ飛ばしてみた。
「…佐助くん?」
下から疑問形で俺の名前を呼ぶ舞さんの声。
「正解、今、良い?」
「勿論、いらっしゃい」
声を掛けてOKをもらうと、俺は天井板を一枚外し、スタンと下に音も無く降りる。
「相変わらず音も無く静かに降りるね」
舞さんがふわんと花が咲くような笑みを浮かべる。
可愛い笑顔に、これで武将達はとりこになっているんだな、俺はうらやましく思う。
誰に?勿論安土の武将達だ。
この、目の前にいる愛らしい舞さんを、日々誰かしら構って仲良くしていると聞いて、一番彼女の事を知っていると思う自分が、そう出来ない立場に歯がゆくなる。
「ね、紙飛行機、どうしたの?」