<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第122章 紙飛行機 ― 佐助&姫 ―
紙飛行機を作って飛ばす。
舞さんの許へ届けと願いながら、でも、いくらなんでも安土までは届かないな。
夜空を見上げて、俺は星を見る。
現代に居た頃は、望遠鏡の中から覗いた星々の瞬き。
今は自分の目でその輝きを見る事が出来る。
余計な灯りがなく空気が綺麗だから、星が降るように思える程、良く見える。
「あれは北斗七星。線を伸ばした先に、北極星。カシオペア座も見えている」
つぶやきながら空に指で線を結び、星座の姿を思い浮かべる。
まさか、自分が戦国時代という歴史の時代へ来てしまうとは、ゆめ思わなかった。
でも自分の研究が正しい事がわかって、この時代も慣れると楽しい事がわかってくる。
俺が一緒に居る人達も、慣れると現代より余程『人』らしくて大好きだ。
現代では同じ研究室にいてもみんながみんな、人より自分が一歩出よう、出し抜こう、追い落とそう、そして潰しあい、それで傷つき倒れた先輩を多数見て来た。
ここでは研究は出来ないけれど、生きる人達はみんな、己の信念を持っていて、その為に研鑽しちからを付けていて、余程自分らしくやっていけると思う。
俺のワームホールの研究は、法則や式が頭に入っているから、後はこつこつ日数や場所特定など決まった計算を続けていけば良いから、現代だろうが戦国だろうがどこでも出来るしノープロブレム。
俺の唯一の気掛かりは、安土で生きる一緒に現代から来た舞さんの事。