<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第122章 紙飛行機 ― 佐助&姫 ―
先程飛ばした紙飛行機を手にして、舞さんが俺に問う。
「あ、飛んだらどうなるかな、と思って」
「飛んだらどうなる?それでどうなったの?」
意味がわからないと言った面持ちで舞さんは更に問う。
「んー、今は何も変わらないかな」
俺の答えに舞さんはちょっと落胆した様子で、でもまた更に言う。
「じゃ、私も飛ばそう」
部屋の中で紙飛行機を飛ばす舞さん。
「私の気持ち、佐助くんに届けーっ」
「私の気持ち?」
舞さんの言葉をオウム返しに口に出した俺に、舞さんは赤くなって言う。
「もう、鈍感!佐助くん、私の気持ち、どうしてわかってくれないの?
ただの頼りになる現代人仲間じゃなくて、佐助くんを私がどう思うのか…知りたいよ」
「それは…おとことおんなとしての意味と、考えて良いものかな?」
「…そうだよ、もう、佐助くん、ほんと気が付かないよね」
俺の腕に飛び込んできた舞さんは、柔らかくておんなのにおいを纏わせて、俺のおとこの部分がずきりとうずくような色気を含んでいた。
「ああ、今、気付いたよ、舞さん、俺はきみが…」
紙飛行機に想いを乗せて、二人の恋が今から始まる。
<終>