<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第115章 表裏一体 ― 姫&三成 ―
「…舞様、顔を上げてください」
しばらくして、三成くんが穏やかな声で声を掛けてくれた。
それでも私は申し訳なくて顔をあげられなかった。
すると三成くんは私の側へ来て、頭をあげさせてくれた。
顎をすくわれ、三成くんの顔を見上げると、その瞳は哀しみに揺れ、私をやはり映していなかった。
「男女の仲がいろいろ有るというのを知りました。
舞様は私では物足りなくて、政宗様を選ばれたのが事実です」
三成くんの冷静な声が、私を悪女の道へ進む事を決めた。
ごめんなさい。
貴方をこれ以上傷つけないために、私はとことん悪いおんなになるよ。
「…ええ、そう。三成くんとも楽しかったよ。
いろいろなおとことしてみたかったから、三成くんとも出来て良かったな」
「…そうでしたか」
三成くんの声はいつまでも穏やかで、私は必死に悪女を演じる。
「家康や光秀さんとも楽しんでおけばよかったな、残念だよ」
「…そうですか」
「…何か言いたい事、あるでしょう?私を罵倒しないの?」
私は三成くんの上衣の衿を掴みかかっていた。
「舞様、罵倒など…」