<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第115章 表裏一体 ― 姫&三成 ―
三成くん、貴方は全てを知っていて、私を抱いていたの…?
私は、着物を着ると、朝を待って、急いで三成くんの許へ行った。
「ええ、存じてましたよ。私を選ぶか政宗様を選ぶかは、舞様次第ですから」
静かな声で静かに三成くんは言った。
その瞳は私を見ていたけれど、私を映してはいなかった。
私はこの人を傷つけた。
その瞬間、三成くんへの申し訳ない気持ちが溢れ、どうにもならなくなった。
申し訳ない気持ち、それは、三成くんを選ばない、という事実。
私は三成くんを愛しているつもりに、いつの間にかなっていて、でも、政宗へ心を移していた事に今更ながらに気が付いた。
だから、佐和山へ戻る事を話さなかったんだ…
私は居住まいを直し、両手を畳について頭を下げた。
「三成くん、本当に申し訳ありません」
「舞様…」
「貴方を愛してると思っていた。ううん、当初は貴方だけを愛していた。
でも、私は政宗とも付き合ううちに、政宗に惹かれていた事に気が付いたの。
だから、ごめんなさい、私は青葉城へ政宗に一緒に行きたい」
三成くんの顔が見られず、私は頭を下げたままだった。