<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第114章 金平糖奪還 ― 姫&信長 ―
「駄目ですよ、食べ過ぎは秀吉さんからも怒られちゃいますよ」
「秀吉はうるさいだけだ。俺はそんなに大量に一度に食べたりせぬ」
「ふふっ、信長様必死ですね」
私の一言に、信長様は更にヒートアップしてしまったの。
「何?俺が必死とな?そうではない。では貴様と俺で何か勝負をしよう。俺が勝ったらその瓶を寄越せ」
「勝負ですか?囲碁では私に勝ち目が無いから嫌です」
「他に何か有るか?」
うーん、と私は目をくるりと動かし、あ、と言って、片手を握ってもう片手で叩いた。
「じゃんけん、しましょう」
「じゃんけん、とな?」
「はい、ぐー、ちょき、ぱーだけで勝ち負けを決める勝負事です。
ぐーは石、ちょきははさみ、ぱーは紙を表して、ぐーはぱーに負け、ぱーはちょきに負け、ちょきはぐーに負けます」
私の簡単な説明を聞いて、信長様はふむと自分の手のひらをぐー、ちょき、ぱーに動かし、そのうち右手でぐー、ちょき、ぱーとやり、左手でぱー、ぐー、ちょきと同時に動かし、一人じゃんけんをし出した。
「信長様、すごい。左手が勝ってる…」
あっという間に理解する信長様の頭の回転の良さに、舌を巻く。
「わかったぞ、ではじゃんけんとやらをやろう」
「これなら負けませんからね」