<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第114章 金平糖奪還 ― 姫&信長 ―
「じゃーんけーんぽーん」
じゃんけんをしているのは、私と信長様。
どうしてそんな事をしているのかって?
それはちょっと前のこの事が発端なの。
「あ、信長様、金平糖また食べましたね」
「一つだ、それくらい構わぬだろう」
「いえいえ、この瓶の中の減り方は一つじゃありませんね?」
私の突っ込みに、信長様は目線を逸らしてごまかしていたの。
「もう、仕方ありませんね、信長様は」
私はそのこどもっぽい仕草の信長様がおかしくて、くすくす笑いながら瓶を袖の中にしまった。
「貴様、その瓶をどうするのだ」
信長様が、袖にしまった金平糖の瓶をどうするのか、と聞いてくる。
「だって、側に置いておいたら、また食べてしまいますでしょう?
だから私の袖の中に仕舞っておきますね」
「駄目だ、寄越せ」
信長様のこどもっぽい抵抗に私は驚きながらも、可愛らしいと更におかしくなった。