<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第109章 ずるくてかっこいい貴方 ― 姫&政宗 ―
「足のちからが足りないのだと思いますよ」
あぶみに足をのせて反対側の足を思い切りあげて跨ぐ、政宗はいとも簡単にやっているけれど、私には足を思い切りあげる事が出来ないの。
「足のちからかぁ…」
やっぱりこういうところで男女の体格差が出ちゃうのは仕方ないのかな。
「ああ、でも、悔しいなぁ」
つぶやいた言葉を政宗に聞かれてしまっていたの。
「何が悔しいんだ?」
後ろからぎゅっと抱き締められ、耳元で聞かれて、すぐ政宗だと気付く。
「ま、政宗!聞いてたの?もう、聞いちゃ駄目だよ、独り言なんだから」
「ずいぶんデカイ独り言だったぞ?それで、何が悔しいんだ?」
「もう、政宗、離して。政宗と力の差がありすぎるのが悔しいの!
それに、政宗がかっこいいから悔しいの!」
私がそう言うと、政宗は驚いた顔で私の顔をまじまじと見て、更に抱き締める腕のちからを緩めるどころかきつく締めた。
「ちょっと、苦しいよ…離して」
「離さない。おまえ、どうしてそんなに可愛いんだ。そんな事言われたら絶対離さない」
政宗はひょいと私を横抱きにして自室に入ってしまう。
「舞、可愛い…」