<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第103章 誤解 ― 姫&光秀 ―
「え…光秀さん、女の人と会っていたんじゃ…」
「おまえ、やはり俺が人と会っているのを覗き見していたな」
私が驚いたのを見て、光秀さんはやはりと頷く。
光秀さんが女性と会っているのを、私が覗いていたのを知っている口振りだった。
「私の事、気付いていたんですか?」
「当然だろう?あれだけ堂々と、俺の後ろを付いてきているんだからな」
片頬に笑みを浮かべた光秀さんは、私に近付くと私の片腕を引いた。
「それで?俺とあのおんなを見て、どう、思った?」
「…とても仲が良さそうだと思いました。光秀さんはあの人を大切にしているなって思いました」
正直に思った事を言うと、光秀さんは満足そうに更に笑みを深くし、私の顔を覗き込んで言った。
「あのおんなは、確かに大切だな」
私はそれを聞いて、自分が今、どういう表情をしているのかわからなかった。
「あれは俺の斥候の一人だからな」
『せっこう?って…確か密偵の事、だっけ…?』
私は言葉がわからず、更に自分がどういう顔をしているのかわからなかった。
光秀さんは私の腕を掴んだまま、更にぐいと引っ張り、私は光秀さんの胸に引っ張りこまれていた。
「みつ、ひで、さん…」