<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第103章 誤解 ― 姫&光秀 ―
八重桜を一緒に見た日の夜、私は光秀さんに抱かれた。
光秀さんを好きなのか、と考えると、未だにどうなのか自分でもわからないの。
光秀さんはあの日以降も、変わらぬ態度で私に接してくる。
光秀さん、貴方は私をどう、思ってるの?
そう思っていたある日、反物屋を覗きに行った帰り、光秀さんの後ろ姿を見付けて後を追ったら、光秀さんは美しい女性と会っていた…
私と違って、妖艶な雰囲気を持つ色っぽいおとなの女性で、光秀さんととてもお似合いだった。
光秀さんはとても丁寧な態度で女性に接していて、いつもの、私に意地悪するのとは大違い。
私はただのからかいの相手で、本当はああいうおとなの女性が好きなんだなって思い、絶望に似た感情が私の中に押し寄せるのがわかり、ああ、私、光秀さんが好きになっていたんだな、と気付かされたわ。
でもだからと言って、二人の中に入る訳にもゆかないでしょう?
私はそっと二人の姿を後にして、城へ戻って行ったの。
部屋に戻って文机の前に座り、頬杖をついて、先程の二人を思い出す。
しばらくぼんやりしていたら、襖越しに声がかかった。
「舞、良いか?」
襖が開いて顔を出したのは、件の光秀さんだったから、私は驚く。