<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第90章 仲間から ― 佐助&姫 ―
「いや、ありがとう」
ここは素直に受け取っておこう。
そして俺の誕生日当日が来て、休みをもらってくれた舞さんと俺は馬に一緒に乗って、少し遠出をしていた。
しばらくして着いたのは国境いの湖で、そのほとりで二人で座る。
舞さんは荷物を出すと、俺にはい、と包みを差し出した。
「佐助くんが喜んでくれると良いんだけど」
俺はカサカサと音を立て、その包みを開けた。
包まれていたのは皮で出来た小さい巾着袋で、皮だから縫うのすら大変だった思うのに、俺が偏愛するまきびしの刺繍まで小さく施してあった。
「佐助くんにまきびし入れだよ」
ふふ、と笑って舞さんは言ってくれた。
「ありがとう…本当に嬉しい…大事に使うよ」
俺は一所懸命に作ってくれた舞さんの労力に感謝した。
「縫うの大変だっただろう?皮なんて布と違って固いし…」
「うん。実はちょっと大変だった、かな」
俺は嬉しくて、舞さんの小さな両手を自分の両手でぎゅっと握った。
「本当に、ありがとう」
そのまま手を離し、俺はそっと舞さんを抱き締めていた。