<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第90章 仲間から ― 佐助&姫 ―
「もうすぐ佐助くんの誕生日だね」
舞さんがまさか俺の誕生日を覚えていてくれているとは思っていなかったので、俺は思わず目を見開いてしまった。
「あれ?違った?」
「いや、合ってるけど…まさか舞さんが覚えてくれているとは思わなくて、驚いたところ」
「えー嫌だなぁ、私が佐助くんの誕生日を忘れる訳ないでしょう?
一緒に現代から飛んじゃった仲間なんだから!」
ふふふ、と笑う舞さんに誕生日を祝ってもらえるのは嬉しいけれど、俺としては仲間というのが少々ひっかかるんだ。
仲間、以上の仲、を期待したら、やっぱり難しいだろうか。
安土軍には魅力的な武将達ばかりだもの、な。
筆頭はやはりカリスマ織田信長様、人たらしの豊臣秀吉さんにミステリアスな明智光秀さん。
伊達政宗さんは多趣味で魅力的だし、徳川家康公は俺の一押し武将で、石田三成さんはおっとりと優し気な雰囲気が女性に好まれるだろう。
そんな人達に囲まれていたら、嫌でもオトコを見るレベルがあがってしまって、地味な忍びの俺はすっかり影の人、かもしれない。
ちょっと俺はその六人と自分を比べてしょげてしまったのだが、舞さんは俺に嬉しい事を言ってくれる。
「安土の人達も親切だけど、やっぱり心許せるのは一緒に現代からきた佐助くんだけだよ。だから私は、佐助くんのお誕生日をきちんとお祝いしたいんだ。駄目かなぁ?」