<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第86章 家を守る女人 ― 姫&家康 ―
「戦国武将でとにかく有名なのは、信長様、秀吉さん、そして…家康、貴方なんだよ」
舞は戦国三英傑の名を挙げた。
「俺も、名が知られてるの?」
「うん、家康はこれから、未来にとても重要な事を成す人なんだよ」
舞が言うと、家康は意外そうな表情をした。
「へぇ、そうなんだ…俺が、ねぇ…で、井伊直虎はその俺に比べたらどうなの?」
舞は突然井伊直虎が比較対象で名前を出された事に、驚きながら答えた。
「え…彼女は家康に比べたら、知らない人のほうが多いと思うよ」
「…彼女?どういう事?」
「家康、知らないの?井伊直虎さんって女性だよ」
さらりと舞が言った事に家康は目を見開いて、驚いたまま言う。
「そうなの?いろいろ革新的な事を提案してくるからどういうやつかと、会うのを楽しみにしていたけれど、おんな、なんだ…」
「あ、おんなだからってバカにしちゃ駄目だよ。直虎さん…井伊家の働きのおかげで、家康だって自分の国を大きくしていく事が出来たんだから」
「って事は、井伊はこれから徳川の為に必要な家だって、あんた、言っちゃってるね」
未来の知っている事をまくしたてるようにしゃべった舞に、家康は呆れ顔で言い、舞はしゃべりすぎた事に、自分の手で口を隠した。
「今更そんな事しても遅いけど」