<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第80章 今川 ― 姫&義元 ―
家康の話しとずいぶん違うけれど、どういう事なんだろう?
「母上はその子に俺の軍師だった雪斎和尚からも学ばせて、教育については当時の日の本一の勉学をしこんだはずだよ。
それに他の預かっていた子達と一緒に遊ばせて、その子達を母上が監視しながらも可愛いがっていたと聞いたけどね。
俺の本当の配下だった者は、むしろ俺の為に徳川家康を捉えてどうこうしようなんてしない。
だから、その俺の配下だった者達は、俺の直下の者ではなく、他の家臣や裏切った配下の者じゃないのかな」
お茶を飲むのも優雅な義元さんを見ていると、確かに家康を狙ってどうこうするような人には見えない。
すると、義元さん直下の人じゃなく、義元さんを裏切った配下の人達や家臣の人達が家康を襲ったのかしら…
私のそんな考えを、表情から読み取った義元さんは、仕方ないなと言った体で立ち上がり、私を促しながら言った。
「会わせてあげるから自分で確認しなよ」
「え?どなたに…?」
驚く私に、義元さんはさらりと言い放った。
「誰って、俺の母上、寿桂尼だよ。安土に来ているんだ、おいで」
あの歴史に残る女性、寿桂尼に会えるの!?
「来るの?来ないの?」
義元さんに再度聞かれ、私は即答していた。
「い、行きます、お願いします…」