<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第72章 ふたりで ― 信長&姫 ―
「ふふ、おっしゃる通りかもしれませんわね」
そういってもう一度巻き物を覗き込む舞の姿を見ているうち、信長は思う。
「貴様、この鳥を見て見たくはないか?」
「…この鳥を、ですか?それは、見られるものなら見てみとうございますが…この国にいる鳥ではないのなら、難しいのではございませんか?」
「そうだな、今は難しいかもしれぬ。だが、いつか、この時代では出来ぬ事が、出来る時代が来るかもしれぬな。その時、俺の横に貴様が居れば、二人でこの鳥を見に行こう」
その言葉に舞は大きく微笑みをこぼし、頷く。
「はい、是非その時はお連れくださいませね、信長様。約束してくださいませ」
遠くて近い未来、戦国時代の安土にて、織田信長と舞が地球儀の前で話していた。
「オウム、ですか?そりゃ、私の居た時代にはいましたけれど、信長様は見た事ありますか?」
「いや、実際に見た事はない。貴様の居た時代ではオウムは空を飛んでいたのか?」
「いえいえ、野生ではなく、家で飼われている鳥ですよ。野生のオウムは日本にはいません」
「さようか」
信長がほんの少しがっかりしたような様子に見えた舞は問う。
「どうしたんですか?オウムが見たいのですか?」
「…ああ、最近何故か南蛮の者から聞いた、オウムとやらの鳥が見てみたくてたまらぬ」