<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第72章 ふたりで ― 信長&姫 ―
「信長様、何を読んでいるのですか?」
いざってくる中宮舞を見て、帝である信長は巻き物を膝に置いた。
「ああ、侍従の三成が面白いものを教えてくれてな」
「おもしろいもの?」
小首をかしげる舞の姿が愛らしいと思いつつ、信長は巻き物に書いてある事を説明した。
「異国には派手な色をした言葉をしゃべる鳥がいるそうだ」
「まぁ…言葉を話す鳥ですか…どんな鳥なのでしょう?」
舞はぱらりと檜扇を広げ、顔を隠しながら巻き物を覗き込む。
信長は舞の肩をぐいと抱き寄せながら、巻き物を一緒に見るように、自分のすぐ隣に舞を引き寄せる。
「こんな鳥だそうだ」
「まぁ…見た事ありませんわ…こんな姿の鳥は…」
巻き物に描かれた鳥の絵はオウムの絵で、極彩色で塗られていた。
「そうだな、この国には居ない鳥だからな」
「どんな異国にいるのでしょうね」
ふわりと微笑む舞に、信長は言う。
「全てが派手な色に彩られた国ではないか?」