<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第72章 ふたりで ― 信長&姫 ―
「うーん、南蛮の船がそれを連れてきてくれれば良いのですけどね。生きたままのものを連れてくるのは、大変なのかもしれませんね」
「貴様の時代でもオウムは話すのか?」
「え、ああ、教えれば話しますよ。賢い鳥なんです」
「よし、貴様、俺と一緒に世界を見についてこい」
「は!?」
「政務は秀吉にさせておけばいいだろう。俺と世界を見に参るぞ」
「いきなり何を言っているのですか、信長様!」
突然の世界旅行発言に驚く舞だが、信長は涼しい顔で言う。
「秀吉なら三成もついておるし、十分俺の代わりにこの国を治めるちからがある。どうだ、貴様は俺と世界を見に参らぬか?」
信長の提案に、唖然とした舞だが、やがてくすくす笑いながら言った。
「仕方ありませんね、信長様には。私が一緒に参ります。世界を見に行きましょう」
「貴様となら俺は新しいものを吸収して、それをこの国に生かせる事が出来るだろう」
信長の言に、舞は驚いた風を装いながら言った。
「わぁ、責任重大です。でも信長様と一緒なら、どんな困難も乗り越えられそうですね」
豊臣秀吉に政務を任せ、信長が舞と渡航するのは、ほんのもう少し先のお話し。
旅するうちに信長はあっという間に南蛮の言葉を覚え、南蛮人と問題なく意思疎通が出来るようになる姿を、舞は驚きながら隣で見続け、その覚えた知識を戻ってから秀吉達に伝え、日の本の国を良くする事に隠れて指導し、邁進するのも、いつかの別なお話し。
<終>