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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第64章 心に蓋をして、幸を祈る ― 安土城武将&姫 ―


「越後に行かれて、舞様が幸せになられるとは思えません。
舞様は安土にいらっしゃるのが一番のお幸せではないでしょうか…!」

舞様に越後に行って欲しくない。

私はその一心でお引き留めする。

「…三成、珍しいな。そこまで舞を引き留めるなんて」

秀吉様が驚いた様子で、私をご覧になっておっしゃる。

私も何故こんなに必死に舞様を引き留めるのか、自分でも理解出来ません。

舞様のお顔は泣きそうで、私はそんな舞様のお顔を見るのがつらくてなりませんが、でもそのお顔を作っているのは、元も子もない、反対している私なのですよね。

「三成、貴様は舞を好いているのか」

信長様の直球な言葉に、私は息を呑み、自分の感情の本来の意味に今になって気付く。

『私は、舞様が、好きなのか…
だから、謙信殿の許へ行くのを反対しているのか…』

私は言葉を無くし、しばらく無言で自分の感情を整理し、好きという感情を封印しても、舞様が越後に行くのに良い事は無いと結論付けた。

「…私の感情に関係無く、舞様が越後に行ってもお幸せを掴む可能性は、こちらにいらっしゃるより低いと思われます。だから私は反対します」

「…三成くん…でも私は幸せになれなくても行きたいの。
謙信様の許に居たいんです。
お願いします、私を越後へ、春日山城へ行かせてください」

舞様は必死で信長様や皆さまへ願われました。

「舞、貴様は風のようなおんなだ。貴様がどうしても謙信のところへ行きたいと言うのなら、俺は反対せぬから行くが良い」
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